topTOP インタビュー 数字に囚われた時代から「自分が何をしたいのか」問われる時代に  パーティークリエイターの生存戦略③  Afro&Co.代表 アフロマンスさん(34歳)

数字に囚われた時代から「自分が何をしたいのか」問われる時代に
  パーティークリエイターの生存戦略③
  Afro&Co.代表
 アフロマンスさん(34歳)

インタビュー 2019.09.12

人工知能が発達し、「クリエイティブ」や「デザイン」といった考え方が重要視されるようになった。

今回は、アイディアで非日常体験を生み出しているパーティークリエイターのアフロマンスさんにお話を伺った。アフロマンスさんは、クリエイターとして新感覚の体験型イベントや空間プロデュース、メディアやSNSの情報設計など幅広く活躍されている。

ご存知の方も多いかもしれないが、泡にまみれて踊る泡パーティー「泡パ®」や、最近では血と薔薇をテーマにしたイマーシブレストラン「喰種レストラン」を企画し、どちらも大きな話題となった。

そんなアフロマンスさんに、自分の好きなことで食べていくコツ、アイディアの鍛え方、これからの時代に必要な能力の3点を中心に伺った。

 

「『好きなこと』で食べていく方法と『小さな好き』の育て方」パーティークリエイターの生存戦略①はこちら

 「アフロマンス流アイディアの出し方と鍛え方」パーティークリエイターの生存戦略②はこちら

お金のない世界で問われる自分の本質

経歴

広告会社を経て、独立。株式会社Afro&Co.を立ち上げ、代表を務める。
「パーティクリエイター」として、新感覚の体験型イベントや施設の企画・監修・制作などを行う。
これまでに、「泡パ®」や「喰種レストラン」以外にも、ハウスに合わせてマグロをさばく「マグロハウス®」、120万枚の花びらに埋もれるチルアウトバー「SAKURA CHILL BAR by 佐賀」など、様々なユニークなイベントを仕掛け、大きな話題となった。
「世の中に、もっとワクワクを。」という理念を掲げ、理屈を超えた、新しい体験づくりを追求している

―第1回では、「副業」の話になりました。最近働き方や生き方が大きく変わろうとしています。これからどういう時代になると思われるでしょうか?

「バーニングマン」というイベントご存知ですか?
そこにヒントがあるような気がしています。

 

バーニングマン(Burning Man)は、アメリカ合衆国ネバダ州ブラックロック砂漠で毎年9月最初の月曜日までの7日間に渡って開催される、参加者主導型のアートフェスティバルです。
バーニングマンは1986年にサンフランシスコのベイカー・ビーチで、ラリー・ハーヴィーとその友人たちが2.4mの木製の人形を作って燃やしたことから始まりました。毎年開催するうちにベイエリアを中心としたアンダーグラウンド・カルチャーシーンでの注目を集め、人形(The Man)のサイズも10mを超えるにつれ、数百人規模の群衆が集まりだし、今や世界中から数万人が集まるイベントに成長しました。「BURNIG JAPAN HP参照」

僕は2012年から4回ほど行っています。バーニングマンはフェスだと思われがちですが、実は社会実験です。

 

まず、バーニングマンの世界の中では、お金のやり取りは禁止されています。
ではどうするかというと、まず自分が必要とするものは自分で用意する。
そして、人にギブするものも持ち寄り、見返りを求めないGIVEGIVEで会場内の社会が回る。

あと大事なポイントとして、「No Spectator」という概念があります。
「傍観者ではあるな」ということで、参加者それぞれが何かしら自己表現をしようということです。

僕らは今の社会で生きていく中で、日々、何かしらの選択をしています。

その時に、「お金になるのか」「変な目で見られないか」といった視点抜きには選択できないと思いますが、子どもの頃ってそんなこと考えないじゃないですか。

 

―確かに、子どもの頃ってそんなこと考えもしませんね

 でも、大人になるにしたがって、親から「あんた絵描きじゃ食べていけないよ」って言われたり、恋人から「結婚したら、もうそんなこと辞めてね」と釘を刺されたり、色々潰されるというか、自分でも気づかないうちに損得を考えたり、お金を稼ぐことを考えてしまうようになります。

「自分って何なのか」「自分がどういうことをしたいのか」という心の上に、そうした灰が積もってしまい、本心が埋没してしまった状態になります。

 バーニングマンの世界では、お金のやりとりは基本的にありません。

そして100人いたら100通りのやりたいことがあって、色々な表現や人を暖かく受け入れようという世界になっています。

言い換えるなら、社会の中で積もった「損得」とか「見栄」といった灰を取っ払ってくれるのがバーニングマンの世界です。

「果たしてこの世の中にお金が存在していなくて、皆が暖かく応援してくれたら、自分は何をしたいのか?」みたいな問いを突き付けられます。

 

「自分は何ができるのか」
「何をギブできるのか」
バーニングマンは、そうしたことを考える機会です。

この問いはバーニングマンだけに限らないと思っていて、いずれ社会もそうなると思っています。計算できることはAI がやってしまう。そうなってきた時に人間は、何をするのかと言われたら自己表現しかないと思います。

僕はこれが好きとか僕はこういうことがしたいという理屈ではないことです。泡パーティーだって、理屈は正直よくわかんない。笑

本場イビサの人に聞きましたけど、同じく「なんでやっているのか、僕らも意味はよくわかんない」って言っていました。

理屈だけから生み出されるものは、どこかでつまらなさを感じちゃいます。

だって理屈だけでできるものは、誰がやっても同じものに行き着くんだから。

 

誰もが表現者になる時代に

―「誰がやっても同じ」というのは「再現性が高い」と言い換えられる気がしますね。「再現性が高いもの」は、どんどん不要になっていくということでしょうか?

 今後は「再現性が低い」ことの方が面白いし、価値が生まれると思います。

再現性が高い(=誰がやっても同じ)というのは、例えるなら学校のテスト問題みたいなもので、問いに対して最適な解を探すような考え方。テスト問題で「1+2=は?」と聞かれたら3以外の答えは×です。でも、本当は4-1でも3×1でも間違ってない。

つまり、これからは答えは1個ではないという考え方になると思う。白紙を渡されて自由に表現していい、それが素晴らしいことだと。

そういう答えがない、計算で測れないことは、AIにできない、人間に残された分野でしょう。

 

今の時代ってちょうど再現性と数値の時代の分かれ目だと思っています。これまでの時代は数字が勝っていました。物事の判断は、視聴率やPV数といった数字を基準にしていたじゃないですか。

数字を追いかける作業や理屈でできることは、いつかAIに代替されるでしょう。そうなったとき、理屈ではない創作や表現活動が残っていくはずで、それを人が行っていくはずです。これからは、みんなが作る側、表現者側になっていくと思います。

例えば、今までは歌う人1人に対して聴く人が1万人いるからビジネスとして成り立つし、聴く人を2万人にしよう3万人にしようと数を追い求めてきました。要はマス的な考え方ですよね。

でも「歌う人が1万人になった時、1万通りの歌を1万人に聴かせよう」という考えは、無益じゃないですか。だって全員歌っているのですよ。バーニングマンに参加すると、こうしたことを感じます。

 

―どうしてそう感じられるんですか?

バーニングマンは、7万人位が参加するイベントで、参加者が持ち寄ったアートとか音楽ステージが星の数ほどあります。かなり広くて、数がめちゃくちゃあります。その結果、1つのステージ前にいるのが、数十人というのもあります。

例えば、日本の大きなフェスに出るような有名アーティストがバーニングマンでプレイしても、前には数百人位しかいないなんてこともあります。

それを見ていると、バーニングマンの中で、「去年は会場内で100人集めたから来年は300人、再来年は1000人を目指すぞ」と考えるのは本質的じゃないですし、そもそも数字を追い求めること自体が幸せなの?と感じます。それよりも自分が本当にやりたいことをやって、そこに本当に好きな人たちが数十人集まってくれる方が素晴らしいことじゃないのかと思います。

 

―これからはどんな時代になると予測されていますか?

これまでの時代は、「不特定多数の相手が何を求めているのか」を重要視し、数字や効率を追求してきました。

しかし、これからは「自分が何をしたいのか」が問われる時代だと思います。価値を共感してくれる人が集まったらいいし、もう極端な話、「集まらなくてもやる」時代と言えるかもしれません。

 ただ、どんな領域でも世の中には好きな人がいるので、本気で好きなことをやっていたら集まってきます。これから人口が減っていき、みんなが表現者になっていくことを考えると、表現側と受け手側の比率はどんどん「受け手減」になる訳です。そんな中で「あっちのステージの方が多い、こっちの方は少ない」とあれこれ考えるよりも、素直に自分が好きなことをやる方が幸せになれるでしょう。

自分が楽しい・面白いと思えることをやって、その価値を共感できる仲間たちと集まって、それで食べていければ幸せじゃないですか。
今までだったら食っていけなかったけれど、AIの登場やテクノロジーの発達で、好きなことをやっていても食べていける時代になると思います。

だから、「とにかくいいねがほしい」とか、「大金を稼ぎたい」という数字に捕らわれた生き方から、「自分が好きなことをやって、好きな人たちと価値を共感しあう」という本質的な生き方に、世の中がシフトしていくはずです。

そんな時代に「ロックスターのように、好きなことで大金持ちになる」と思っていると、ものすごい数の人が不幸になる気がします。もう社会はそういう構造ではなくなっていく。

そこで大切になってくるのが再現性の低さ。他の人にできないこと、自分の好きから生まれる理屈じゃないことが面白く、価値を持ってくると思います。

 

「『好きなこと』で食べていく方法と『小さな好き』の育て方」 パーティークリエイターの生存戦略①はこちら

 「アフロマンス流アイディアの出し方と鍛え方」 パーティークリエイターの生存戦略②はこちら

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