topTOP インタビュー 「自分の世界観」の作り方と新時代の生存戦略 おくりバント高山洋平さん(41歳)

「自分の世界観」の作り方と新時代の生存戦略
 おくりバント高山洋平さん(41歳)

インタビュー 2019.09.03

自分がどんな人間なのか分からない
これからの時代、どう生きればいいのか
そんな悩みを持つ20代は多いだろう。
私もその一人だ。

今回はそんな悩みをぶつけに、 類まれなる営業力を持つ高山さんを訪ねた。
営業のプロ」として有名で、Twitterでは「日本一面白い社長」と呼ばれることもある。

年間360日は飲み歩き、中国語が喋れずとも中国支社で大活躍したなど数多くの(迷?)エピソードを持つ高山さんに、「もっと豪快に生きろ!」と一喝されるかと思っていた。

しかし、高山さんが考える、自分の世界観(軸)の見つけ方」、「新時代の生き残り戦略」についてユーモアを交えながら教えてくれた。

 

経歴
高山洋平さん(41歳) 株式会社おくりバント社長
「営業のプロ」、「プロ飲み師」など複数の肩書を持つ。
大学卒業後、不動産投資会社で圧倒的な営業成績を収め続けた後、インターネット広告代理店の「株式会社アドウェイズ」に転職。
同社でも営業力を武器に、中国支社・営業統括本部長まで上り詰めた。「自分でもクリエイティブを作りたい」と、同社の子会社として唯一無二のPR会社「株式会社おくりバント」を創業し、社長を務めている。「営業」をテーマに、多数の企業や大学などで講演などを行っている。

「電話の親機ごと持ってランチに行った」過酷な社会人生活の始まり

大学在籍中に卒業見込みがとれず、就職できるところが不動産投資会社くらいだったので、そこに入社しました。

手に電話の受話器をガムテープでぐるぐる巻きにされて、テレアポ営業をしていました。

休憩時間になっても受話器を外していいと許可がおりなかったので、電話の親機ごと持ってランチを食べに行ったりもしていましたね笑。 トイレに行くのも許可制でしたし、目を剥くようなノルマも科され、売れなかったら休みなんてありません。今なら間違えなく、ブラック企業と言われているでしょう。

そんなアグレッシブな職場で新卒から四苦八苦できたことが今の自分につながっていると思います。もう二度と戻りたくはないですが笑。絶対に二度と!

そんな会社に4年半位いた後、インターネット広告会社「株式会社アドウェイズ」に転職しました。その後、中国カルチャーにずっと興味があったので、中国語が全く喋れないのに、「中国支社に異動させてくれ」と社長に直談判しました。

念願の中国へ

社内の壁を営業力で突破し、念願の中国駐在は叶いましたが、「出来上がった広告を売るのでなく、クリエイティブ側になり広告を作りたい」という思いが段々と強まっていきました。

子どもの頃から、テレビCMや映画・漫画が好きで、「クリエイティブなことをいつか自分でやりたい」と思っていたんですよね。そこで、アドウェイズの子会社として唯一無二の㏚会社「おくりバント」を設立させてもらい、現在はそこの社長を務めています。

これまでを振り返ってみると、圧倒的な営業数字を取り続けてきました。それは、コミュニケーション能力が抜群に高かったからだと思っています。

大学4年間やっていた群馬県太田市の飲み屋でのアルバイトの経験のおかげです。そこの飲み屋のマスターがとにかく面白い人で、映画や音楽など様々なことを教えてくれ、会話の引き出しが何倍にも増えました。

元々、映画や音楽は好きでしたが、ちゃんとカルチャーについて教えてもらったのは初めてでした。大学生の頃、サブカルやカウンターカルチャーに寄ってしまうじゃないですか?

でも本来、サブカルやカウンターカルチャー(対抗文化)ってメインカルチャー(主流的文化)の上に成り立っているものです。マスターは、その両軸の歴史やルーツをそれぞれ教えてくれました。

これまで自分が触れたことのない部分を知ることができ、話に深みや広がりが出るようになったのだと思います。

 

全てのものが観察・分析対象

飲み屋には、良い人もいれば反面教師になるような人もいます。例えば、女性と飲んで会計の時に、「なんで俺がおごるんだよ、しょうがねぇな」というタイプと、サッとおごるタイプの人がいます。

当たり前ですが、サッとおごる方がモテます。おごるという行為は一緒ですが、言い方一つで他人からの見え方が全く異なります。「どうせおごるならスマートにやらないとダサいな」と、そこから学ぶわけです。

こうやって日々観察しています。人だけじゃなくて映画や音楽…なんだって観察対象です。

映画で考えると、「ジャッキー・チェン」ってみんな好きですよね?みんなジャッキーの何が好きなんでしょう?

「動きがコミカル」
「喜劇…チャップリンに似ている」
「ブルース・リーとは違う。ブルース・リーはもっとガチ感がある」
「ジャッキーは京劇の要素を取り入れているのかな」など分析していくと色々と分かってきます。

主人公だけでなく、サブキャラクターからも色々と分かってきます。ジャッキー映画に出演する常連俳優で、サモ・ハン・キンポーという方がいますよね。コソ泥で子悪党だけど、何故か憎めないキャラなんです。なぜ憎めないかを考えると、「最終的に裏切らない、逃げても戻ってきている」からじゃないかと自分なりの答えが見つかるわけです。悪になりきらず、ギリギリのところで正義を保っています。

つまり、こうすれば自分も憎めない奴になれるのではないかと分かるわけです。サモ・ハン・キンポーは、ダメな男だけど最低限の品を持っています。俺もそう生きたいとは思っています。

そんなダメ男界の紳士を目指しています笑。

映画の中で素敵だと思える登場人物がいたら、そうなるために「自分は今何を持っていて、何が足りないのか」を考えていきましょう。そうすればきっと近づけるはずですし、ビジネスシーンでも応用がきくはずです。

 

好き嫌いを突き詰めて自分の軸・世界観を作る

映画の例を挙げましたが、映画だけではありません。コンビニのおにぎりで考えてみましょう。ファミリーマートの新作のおにぎりが何か分かりますか?

今、新作おにぎりのラインナップは混沌を極めていて、チキン南蛮やXO醤油みたいなものまであります。人はおにぎりに何を求めているのでしょうか

すき焼きおにぎりを見た時、「すき焼きっていつの間にか高級品だけでなく、吉野家や松屋を代表にチェーン店でも気軽に食べられる、安価な料理として認識が変動しているのかもしれない」と想像ができますね。極論、それが正解かどうかは重要ではありません。

目の前の変化に対して、思考停止で受け入れることはせず、自分なりの想像を膨らませることが大切です自分の場合、物事に興味・関心を持って町に出たら常にキョロキョロしていますよ。こんな風貌で挙動不審だと、よく警官に職務質問されますが笑。

でも、これをやっていると、自分は何が好きなのか理解できるようになり、その上で自分はどうなりたいのか漠然とわかるようになっていきます。

女性のタイプ一つとっても、自分は青山にいるようなスタイリッシュな女性が好きなのか、それとも中野にいるような親しみやすい女性が好きなのか。マンションひとつとってもタワマンに住みたいのか、秀和レジデンスに住みたいのか…。自分がどういう生活を営みたいのかが、好き嫌いがはっきりしていればクリアになってきます。

自分は今日コカ・コーラの赤い時計を付けていますが、これがカッコいいと思って付けています。ロレックスじゃなくていいのです、自分は。宝くじに当たっても、会社が大成してもこの価値観が変わることはありません。

このように、何が好きで何が嫌いなのか」を突き詰めていけば、それが「自分の世界観や軸」になっていくはずです。自分がどうなりたいかを明確にしたら、その方向に向かっていけばいいだけです。

 

「営業力=自分のやりたいことを実現する力」

色々なことに興味関心を持つことで、説得力のある言い訳ができるようにもなります。笑

ルノアールで仕事をサボっている時間も、ボケっとしないで色々関心を持っておくわけです。

例えばこの「贅沢サンド」。

「贅沢」という名前はなんだか贅沢感を感じさせますね。「贅沢」なんですから。

(出典 ルノアール公式HP

これを「今の仕事に活かせないかな」と考えるのです。例えば求人案内を出す際に「贅沢求人案内」という名前にしたら目に留まりやすいかなと応用できます。そうすれば、「ルノアールはアイディアの宝庫です」と堂々とサボれるようになります。

ルノアールでサボっていても、ルノアールについて色々知っていれば、朗々と言い訳ができるわけです。それでいいじゃないですか、営業マンは笑。これをマスターすると、こんな風になれます↓

今日の洋服ひとつ取っても、「この格好の方がいい営業ができる」と言って、上司に納得してもらうよう説得できます。

「人を見た目で判断しちゃだめだと子供のころから言われていますよね。大人になった今、あなたはそれをしていませんか?」

「見た目が悪い良い人の方が、善良で清潔な良い人より面白みがありますよね。それに、ただならない風格を勝手に感じ取ってもらえるので、営業トークも聞いてもらいやすいはずです」みたいな感じで説得した気がします。

少女漫画である不良が雨の日に子犬を抱くと一気に良い人になれる原理があるじゃないですか。「マイナスからのスタート」。あれを実践しています。笑

説得力のある言い訳ができるようになれば、自分が本当に好む選択ができるようになります。もしかしたら、「営業力」というのは「自分のやりたいことを実現する力」なのかもしれません。

 

価値観が多様化したからこそ、自分の価値観が肝

自分は若い頃、「豪快な男になりたい」と思っていました。憧れている対象も勝新太郎や花の慶次でした。最近では豪快であっても、そこに柔らかさや繊細さを加えた方が時代に即している気がしています。

十人十色の価値観があって、それが認められる時代になってきましたよね。

そんな時代だからこそ、自分がどこに属しているかを自覚して、自分の価値観に合うコミュニィティと付き合うことが大切だと思います。

平成はコミュニケーションが希薄になった時代です。「相手の時間を奪うから電話しちゃいけない」という話題が、一時期Twitter上で盛り上がっていました。勿論そういう人もいますが、そうではない人もいます。「令和」では、色々なタイプの人の美意識や価値観がより尊重される時代になるでしょう。

だからこそ、心地よく振る舞えるコミュニティを見つけていくことが生きやすくなるコツだと思っています。今、自分がいるコミュニティが合わないと思ったなら、辞めてしまえばいいでしょう。どちらにしろ、水が合わない場所に居続けることなんてきっとできません。その判断を正確にくだすためにも、自分が何者で、何が好きかということをはっきりさせておいた方がいいですね。

例えば、「家族のために、好きでもない会社(コミュニティ)に所属し、自分を押し殺して働いている」という人がいたとします。それはそれで良い価値観だと思います。ひとつの立派な価値観です。

とにかく、自分のやっていることを卑下しないことです。俺だって、普通だったら自虐に走りますよ。41歳にもなってこんなフザけたテンションで生きているのですから。

冠婚葬祭で親戚一同に会うと、必ず「もっと髪を整えろ、髭を剃れ、ヘラヘラするな」って怒られますからね。41歳になって親や親戚に怒られるんですよ!子供の前で。

でも、そんな俺でも卑下せず胸を張って生きているわけです。色んな生き方があるだろうし、そういう時代になってきました。せめて自分で自分を認めてあげないといけません。もし自分の現状が「イケていない」と思うなら徐々に軌道修正していけばいいだけの話です。

 

これからは「突き抜けること」が生き残りのカギになる

徹底的に突き詰めて、突き抜けることができれば、これからの時代きっと生き残ることができるはずです。

どんなジャンルでもいいから極めましょう。

そもそも、突き詰めたものがある人ってかっこいいじゃないですか?

「港区女子」を例に出して考えると、ガチモン港区女子はかっこいいけど、港区女子に憧れて表面だけをなぞっている人はちょっとダサいですよね。

その違いは突き抜けているかどうかです。どんなジャンルでもその道を極めていればカッコいいですよね。俺から言わせれば、カッコいいジャンルがあるわけではなく、突き抜けているかが重要です。

DJも三味線プレイヤーも、スケボーも、一輪車も、極めていればカッコいいし、中途半端だとダサいです。街のミュージシャンだって街の画家だってかっこいい人はマジでかっこいいじゃないですか。売れていようと、売れていなかろうと関係ないですよ。その人の生き様の問題です。

突き抜けるジャンルは何でもよくて、Twitterでもいいわけです。Twitterを1日15時間やっている人がいるとします。その人ってTwitterのプロだから企業のSNSの運用担当より、どんな文言や写真をツイートすれば、より大勢の利用者にウケるのかを熟知しているはずです。なら、そういう仕事に向くと思えばいいだけじゃないですか。

「俺は引きこもりで何もない」じゃなく、それをどう売り込むか考えるべきです。まず、どんなジャンルでもいいから色んなジャンルに興味を持って深掘りしてみましょう。知見の深いジャンルが増えれば増えるほど、生き残る確率は高くなっていきます。人より努力して突き抜けられたら、人を感心させたり魅了させたりする能力が備わります。

アニオタは、アニメを見続ける努力ができる人ということですよね。そういう人は違う分野でも突き抜けることができるはずです。だから、一つの領域で突き抜けると、その経験を汎用させて、他ジャンルでもチャンスを掴みやすくなります。

 

「冷蔵庫の残り物に創意工夫を施して、絶品料理を作っちゃうぞ大作戦」

色々話してきましたが、俺も最初から自分に自信があったわけじゃないですよ。段々とついてきたものです。自分しか自分のことを認めてはくれませんから、自分で認めてあげるしかありません。

イケメンじゃないからモテないと思っている人がいるとしますよね。なら、そのイケメンじゃない現状をどう利用するかを考えないといけないはずです。

イケメンじゃないことのメリットを徹底的に考えるわけです。
例えば、俺が速水もこみちだったらあなた、緊張して絶対話せないですよ。

ということは、「自分は速水もこみちよりは、話しやすい」と思えばいいです。自分で短所だと思っていることは、考え方ひとつで長所に転じさせることもできます。
要は「冷蔵庫の残り物をどう料理するか」と一緒です。題して冷蔵庫の残り物に創意工夫を施して、絶品料理を作っちゃうぞ大作戦です。

今あるもので勝負するしかありません。まずは自分を見て、自分はこういう人で、ここは人より強いだろう。その強みを活かしてどう戦う?というのを考えるべきです。ピンチをどうチャンスに変えるかが大切です。

今回色々と話しましたが、最後に「突き抜けること」についての補足をします。もしかしたら若い人の中には「自分は平均的だから突き抜けるなんて厳しい」と悩んでいる方もいるかもしれません。

そういう方は平均を極めましょう。

全部そつなくできるって相当すごいですからね。突き抜けた平均人間を目指しましょう。

とにかくジャンルは何でもいいですが、1つ極めること。できれば2つあれば最強です。

突き抜けている人って何よりカッコいいですからね。お互いカッコいい人になれるように頑張りましょう。

 

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