転職の給与交渉は内定後!転職エージェントを“使いこなす”裏技も
転職の目的のひとつが、「給与UP」という方は少なくないでしょう。
しかし、しっかりとした交渉をしないと、企業にマイナス印象を与えてしまう可能性もあります。
そこで今回は、転職エージェントで実転職者の代わりに給与交渉をおこなってきた筆者の経験をもとに、給与交渉をスムーズに進めるためのステップと、内定後に交渉するべき理由を紹介します!
「転職エージェント」を“賢く使いこなす”裏技も紹介するので、「年収は上げたいけど、給与交渉を自分ひとりでおこなうのは不安……」という方は、参考にしてみてください。
目次
給与交渉を内定後におこなうべき理由
転職のときの給与交渉は、内定をもらってからおこなうのが“鉄則”です。
私は、転職エージェントで転職者の支援をしてきましたが、給与交渉に成功している方は、内定後に行動していることがほとんどでした。
給与交渉を内定後におこなうべき理由は、以下の2つです。
給与交渉を内定後におこなう2つの理由
- 面接中の給与交渉はマイナスの印象を与える
- 内定後は転職者に「ボール」がある
それぞれ、説明していきます。
面接中の給与交渉はマイナスの印象を与える
面接中の給与交渉は、面接官にマイナスの印象を与えることが多いです。
面接は、求職者と募集企業がお互いに相手のことをより具体的に知り、一緒に仕事をしていける相手かどうかを確認するための場であって、給与交渉をする場所ではありません。
とくに、面接官から給与の話題が出ていないのに「希望給与」を伝えると、マイナスの印象を与えてしまう可能性が高いです。
内定後は転職者に「ボール」がある
内定後に給与交渉をおこなう理由の2つ目は、内定後は転職者に「ボール」があるからです。
「ボール」とは、「意思決定」のことです。
つまり、内定をもらえば、転職者はその企業に入社するかしないかを決める権利があります。
一方で、企業側は内定を出した以上、「内定取り消し」はほとんどできません。
内定取り消しをすると、企業の社会的評判が著しく下がることがあるからです。
また、複数の候補者のなかから内定を出していることもあり、何が何でも内定を出した人に入社の受諾をさせたいと企業は思っています。
そのため転職者側は、給与交渉を “有利な立場”で進めることができるというわけです。
内定後の給与交渉ステップ
内定後の給与交渉ステップをお伝えします。
交渉で大切なポイントは、しっかりと順を追って行動することです。
お金が絡む話は、転職者も企業側も神経を使います。
そのため、スムーズに交渉を進めるには、着実にステップを踏みつつ、お互いの認識をしっかりすり合わせることが大切です。
「給与を上げたい!」という気持ちが先行して焦ってしまうと、交渉はうまくいきません。
以下のステップに従って、慎重に交渉を進めていきましょう。
給与交渉ステップ①「労働条件通知書」の確認
給与交渉の1ステップ目は、「労働条件通知書」の確認をすることです。
企業によって名称が異なることがありますが、いわゆる「勤務条件が書かれた書面」のことです。
「労働条件通知書」は見慣れない書面のため、何が書かれているかわからないこともあるでしょう。
しかし、給与交渉に限ってはこれからお伝えする項目を確認しておけば大丈夫です。
「労働条件通知書」で確認すべき3項目
「労働条件通知書」で確認すべき項目は、主に以下の3つです。
労働条件通知書で確認すべき3つの項目
- 賃金(退職手当及び臨時の賃金は除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
- 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
- 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇など
まずは、「賃金」を把握しましょう。給与額を正確に把握することは、給与交渉をするうえで大前提です。
また「賃金」の項目には、賞与額の記載があることもあります。
そして、「就業の場所」も確認しましょう。勤務地によっては引っ越しが必要だったりと、予想外の出費が発生する可能性もあります。
また、転勤の可能性がある場合の住宅手当、社員寮の有無など、確認するポイントは少なくありません。
「勤務時間」の項目も必ずチェックしましょう。額面上は前職よりも給与がアップしたように見えても、時給換算をすると下がっていることは少なくありません。
転職において、「給与があがる=忙しくなる」というのは“あるある”です。
「労働条件通知書」は「賃金」に目が行きがちですが、就業場所、勤務時間に関してもしっかり目を通しておきましょう。
給与交渉ステップ②内定受諾期限の延長交渉
給与交渉の2ステップ目は、「内定受諾期限の延長交渉」。
内定を受諾するかしないかの回答期限を延ばしてもらえるか聞いてみることです。
多くの企業の内定期限は、内定を出してから「1週間以内」ですが、1週間というのは給与交渉の期間としては非常に短いです。
そのため、最低でも「10日間」には延ばしたいですね。
ちなみに回答期限の延長を交渉するときは、メールで連絡しましょう。電話だと、入社するように説得される場合があり、冷静な判断ができなくなる可能性があります。
以下の例文を参考に、内定受諾期限の延長をお願いしてみてください。
メール例文
件名: 内定受諾期限延長のお願い|(氏名)
◯◯株式会社
人事部 △△様
お世話になっております。
キャリア太郎でございます。
この度は内定を頂戴しましたこと、改めまして御礼申し上げます。
入社を前向きに考えておりますが、大切な決断となるため、熟考に熟考を重ねたいと考えております。
つきましては、大変恐縮ながら、回答期限の延長をしていただくことは可能でしょうか。
可能でしたら、1週間以内の回答を、10日に伸ばしていただけますと幸いです。
10日以内に、必ずご返答をさせていただきます。
ぶしつけなお願いと、甚だ承知しておりますが、ご了承のほど頂けますと幸いに存じます。
何卒、宜しくお願い申し上げます。
──────────
キャリア 太郎
〒123-4567
東京都□□区■■1-2-3
Phone: 090-XXXX-XXXX
Mail: [email protected]
──────────
給与交渉ステップ③「条件面談」ができるか相談
給与交渉の3ステップ目は、「条件面談ができるか相談すること」です。
「条件面談」とは、企業の担当者(主に人事担当者)と、勤務条件について相談ができる場のことです。
給与交渉は繊細な交渉のため、メールや電話ではなく、企業の担当者と直接会うことが大切です。
お互いの認識にちがいが生まれるリスクが減らせるからですね。
ここでは、「条件面談」の場をセッティングしてほしいという旨を企業の人事担当者にお願いするメール文面の例を紹介します。
メール例文
件名: 「条件面談」実施のお願い|(氏名)
◯◯株式会社
人事部 △△様
平素、大変お世話になっております。 貴社の営業職で先日内定を頂戴しました、キャリア太郎と申します。
先日は、内定受諾期限の延長をご了承いただき、誠にありがとうございました。
また、「労働条件通知書」のご送付もありがとうございます。
たしかに拝見させていただきました。
しかしながら、貴社への入社を熟慮するにあたり、あらかじめ1点確認させていただきたいことがあり、可能であればご面談の機会を頂戴したく考えております。
大変無礼なお願いとは承知しておりますが、条件に関しまして疑問をもったままの入社は避けたいとの思いから、ご相談させていただきました次第でございます。
大変お忙しいところ恐縮でございますが、ご一考いただけますと幸いです。
何卒、宜しくお願い申し上げます。
──────────
キャリア 太郎
〒123-4567
東京都□□区■■1-2-3
Phone: 090-XXXX-XXXX
Mail: [email protected]
──────────
給与交渉ステップ④交渉の結果を受けて内定受諾の最終判断
「条件面談」を終えたら、交渉の結果を待ちましょう。
ちなみに、後ほど詳しく説明しますが、「条件面談」を有利に進めるためには、事前準備が重要な意味をもちます。
しっかり準備をして臨めば、企業からの回答は期待できるものになるでしょう。
また、企業からの回答を待っているあいだは、給与が上がらなかった場合のことも考えておいてください。
「自分のキャリアにおいて、そもそも転職する必要があるのか」「現職と比較した福利厚生の充実度」など、給与が上がらなくても入社するメリットがあるかは冷静に考えておきましょう。
給与交渉を転職エージェントに任せたほうがいい理由
初めて給与交渉をするときは、不安なものです。
さらに給与交渉の相手は、勤務条件などに詳しい人事部の社員……。
そこで、給与交渉をするときは、転職エージェントの担当者に任せることがおすすめです。
転職エージェントに任せたほうがいい理由は、以下の2つです。
給与交渉を任せたほうがいい2つの理由
- 客観的に転職者のアピールをしてくれる
- メンタル的にラク
そもそも、転職エージェントを利用して内定をもらった場合は、転職者が企業と直接交渉することは禁じられていることがほとんどです。
そのため、「給与を上げたいこと」を転職エージェントの担当者に伝え、企業と交渉してもらいましょう。
また、これから転職する方で、どうしても給与を上げたい場合は、転職エージェントを利用して転職することを考えましょう。
転職のプロである転職エージェントに頼むのが、給与をアップさせる現実的な選択といえます。
では、転職エージェントに任せたほうがいい理由を解説します。
理由①客観的に転職者のアピールをしてくれる
転職エージェントに給与交渉を任せたほうがいい理由の1つ目が、「客観的に転職者のアピールをしてくれること」です。
給与交渉をするときは、「自分がどれだけ企業に貢献できるか」を企業にアピールすることが鉄則です。
しかし、転職者本人が交渉すると、その業界の平均給与を度外視した給与の提示や、能力以上の給与を求めてしまうことがあります。
そのため、企業にマイナスイメージを与えてしまい、最悪の場合、「内定取り消し」をされるリスクもあります。
一方で、転職エージェントの担当者は、業界に詳しく、多くの転職者をみてきたことから、転職者の能力を客観的に把握しています。
そのため、企業と対等な立場で交渉ができるんですね。
理由②メンタル的にラク
また、転職エージェントに交渉を頼むと心理的に楽というメリットもあります。
給与交渉は、繊細な問題であることから、転職者の心理的負担は相当なものです。
また、現職の仕事の合間に「条件面談」をこなしたり、企業とメールや電話でやり取りするのは、骨が折れる作業です。
そのため、交渉に慣れている方以外は、転職エージェントの担当者に頼んだほうが良いでしょう。
どの転職エージェントを使えばいい?
転職先会社への内定後の給与交渉に転職エージェントを使ったほうがいい理由は、お分かりいただけたと思います。
では、どの転職エージェントを使うのがよいのでしょうか?
ここは絶対外せない!という登録必須な転職エージェントに加えて、お悩みのタイプに合わせた転職エージェントを使っていくのが良いでしょう。
詳しくは、以下の記事でご紹介していますので、あわせて読んでみてください。
転職エージェントを使いこなす“裏技”
私が転職エージェントで働いていた経験から、転職エージェントの担当者に給与交渉をお願いする場合の“裏技”を紹介します。
この“裏技”を使うと、給与交渉をスムーズに進めることができます。
転職エージェントの担当者は、多い人で100人以上の転職者を同時にサポートしています。
そのため担当者によっては、忙しさを理由に、企業との給与交渉を真剣におこなわないことも……。
しかし、これからお伝えする“裏技”を使うと、転職エージェントの担当者を「本気」にさせることができる場合があります。
具体的には、以下の3つです。
転職エージェントを本気にさせる3つの裏技
- 「評価年収」を企業に聞いてもらう
- 「絶対ゆずらない」という姿勢で臨んでみる
- 家庭の事情を伝える
それぞれ、説明しますね。
裏技①「評価年収」を企業に聞いてもらう
給与交渉をスムーズに進めるためには、転職エージェントの担当者を通して「評価年収」を知っておくことが大切です。
「評価年収」とは、「企業が想定している給与の提示額」のことです。
面接の段階で「評価年収」を知ることができると、内定が出るまでに、転職エージェントの担当者が企業と給与交渉してもらえることがあります。
つまり、給与交渉の期間が長くなるので、それだけ給与アップの確率を高めることができるんですね。
たとえば、2次面接が終わって「評価年収」を知り、自分が想定していた年収より低かったとします。
この場合、転職エージェントの担当者に「給与交渉」を依頼します。
内定が出るまでに転職者が企業と給与交渉をすると、企業からマイナスイメージをもたれてしまいますが、転職エージェントが相手だと、企業としては事情が異なってきます。
転職エージェントは、企業にとって「採用代行」のビジネスパートナーのため、ないがしろにできないからですね。
また、内定が出たあとの給与交渉だと、転職エージェントの担当者は十分準備できないまま交渉することになり、うまくいかないこともあります。
そのため、年収交渉をしてもらいたいときは、はやめに担当者に伝えておくことが、担当者としてもありがたいんですね。
裏技②「絶対ゆずらない」という姿勢で臨んでみる
「絶対ゆずらない」という姿勢で、転職エージェントの担当者に向かってみることもひとつの手です。
「絶対ゆずらない」というのは、「提示された年収では満足できない」と担当者に伝えることです。
もちろん、頑固な姿勢を続けると、担当者に背を向かれてしまう可能性もあるため注意が必要です。
しかし、頑固な姿勢をとってみると、担当者が給与交渉に本気になってくれることもあります。
なぜなら、担当者は売上というノルマがあるからです。
つまり、「絶対ゆずらない」と転職者が言っているということは、今のままの年収だと、その転職者が内定を辞退する可能性があるということです。
担当者はノルマがあるため、転職者に内定を受諾してほしい、と考えています。
そのため、給与交渉することで年収をアップし、転職者が内定を受諾する材料をそろえようとするんですね。
「担当者には、売上というノルマがあること」は、転職者が担当者を使いこなすときのポイントです。
裏技③家庭の事情を伝える
「家庭の事情を伝えること」も、転職エージェントの担当者が給与交渉を成功させるうえで大切なことです。
「家庭の事情」とは、「第1子が生まれそう」「奥さんが派遣社員で雇用が不安定」「母親の介護が必要」といったことです。
私が転職エージェントで給与交渉をするときも、「家庭の事情」は非常に有効でした。
「奥さんが派遣社員で、しかも第1子が生まれるため正社員になることもできない。旦那さん(転職者)の稼ぎで家族を養う必要があり、提示年収の増額を希望している」
と企業と交渉し、実際に年収が上がったケースもあります。
企業としても、「家庭の事情」は、年収増額の理由としては納得度が高いです。
もし、給与をアップさせたい理由が家庭の事情の場合は、担当者に伝えてみましょう。
転職エージェントには、転職者のプライベートな事情を口外しないという守秘義務があるため、まずは心置きなく相談してみることをおすすめします。
内定後の給与交渉で気をつけたいこと
内定後の給与交渉で気をつけたいことを紹介します。
自分で交渉する場合も、転職エージェントに交渉する場合でも大切なことなので、必ず押さえておきましょう。
一度伝えた希望額を変えると内定取り消しのリスクも
給与交渉では、一度伝えた希望額を変えることはNGです。
たとえば、最終面接で面接官から希望給与を聞かれて「500万円」と答えたとします。
そして内定後、年収が500万と提示されたにも関わらず、「600万を希望します」と伝えてしまうといったことが当てはまります。
多くの企業は、年収を提示するにあたって、社内で稟議を通します。つまり、上級の役職者の承認を得たうえで条件を伝えているんですね。
しかし、転職者の希望額通りに稟議が通ったのに覆されてしまうと、再度稟議をあげる必要があり、人事担当者だけでなく、役職者にも迷惑がかかります。
場合によっては、「信頼の置けない人」として企業からの評価が下がり、「内定取り消し」になるリスクも……。
面接のなかで希望給与を聞かれることは少なくありません。
希望給与が二転三転して企業からの評価を落とすことのないように、その企業に応募したときから希望給与をしっかり考えておくことが大切です。
希望給与には必ず根拠をもたせる
条件面談で希望給与を伝えるときは、「なぜ、この額を希望するのか」といった根拠を必ずもたせましょう。
「今よりも50万ほしいから450万」といったように、理由もなし希望給与を考える転職者は意外に多いです。
しかし、このような考えで希望給与を決めると、「なんでこの額なんですか?」と給与交渉で企業から突っ込まれたときに、明確な返答ができません。
希望給与に根拠がないということは、企業を説得することができず、往々にして交渉は失敗に終わります。
「根拠」を伝えるときは、「応募する仕事で高いパフォーマンスを発揮できること」を伝えましょう。
つまり、「私の能力的に、給与をもっともらってもおかしくないこと」を伝えるんですね。
たとえば面接では、面接官から質問されなかったためにアピールできなかったことがあったりします。
そこで、条件面談では、アピールできなかったことを余すことなく伝えてみましょう。企業からの評価が上がる可能性があります。
給与交渉は転職エージェントを賢く使って成功させよう
給与交渉のポイントは、企業からの評価を下げないように行動することです。
とくに、面接のなかで交渉をしてしまったり、しっかりとした準備もないまま交渉したりすると、自分で自分の評価を下げてしまいます。
そこで、転職エージェントの担当者に交渉してもらうことを考えましょう。
転職が初めての方は、プロの力を頼るほうが給与交渉の確率を高められるでしょう。転職エージェントは無料で使えるので、利用しない手はありません。
今回紹介した「転職エージェントを“賢く使いこなす“裏技”」も参考に、希望の給与をつかみ取りましょう!