合格する転職での志望動機を解説。面接の評価ポイントも【例文あり】
転職の面接で話す「志望動機」の答え方に迷っていませんか?
「給料が低いから」「残業時間を減らしたい」と、‟リアルな転職理由”はあるけれど、面接官には伝えられないし……と悩む人は多いです。
そこで今回は、転職エージェントで多くの転職者の「受かる志望動機」を見てきた筆者の経験をもとに、面接官から評価される志望動機の伝え方を徹底的に解説します!
記事のなかでは、志望動機の回答例とともにNGな答え方もお伝えしているので、志望動機に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
なお、この記事は国家資格「キャリアコンサルタント」を持ち、実務経験もある専門家に監修をしていただいています。
目次
面接官が志望動機を聞く理由
面接官が志望動機を聞く理由は、主に以下の2つです。
面接官が志望動機を聞く2つの理由
それぞれ説明しますね。
理由①「本気度」を確認するため
面接官が志望動機を聞く理由は、「本気度を確認するため」です。
中途採用は、企業にとって「投資」です。
転職エージェントを利用している場合は、1人を採用すると「年収の30~35%」をエージェントに支払う必要があります。
例えば年収500万円で採用した場合、少なくとも150万円をエージェントに支払います。
このような投資をして人一人を採用している企業は、採用した社員に長く働いて活躍してもらいたいと考えています。
この転職に本気であれば、「何か困難があっても、自分の目標を達成するために、困難を乗り越える力を持っているのではないか」と考えるわけです。
そこで面接では、「辞めない人物か?本気で入社したいと思っているか?」を、志望動機を聞くことで判断します。
つまり、「本気度」を確認しています。
理由②会社の方向性を正しく理解しているか確認するため
事業展開や攻めていく領域は、会社ごとに異なります。
今いる社員と共に、「会社のビジョンを実現すること」が転職者に求められていることといえます。
そのため、一番ハッピーなかたちが「企業の方向性と、転職者が歩みたい方向性が一致しているか」を判断したいと考えています。
会社がAという方向に進もうとしているのに、転職者の志望動機を聞くと「Bという方向に進みたいのかな?」と面接官が思ってしまうと、採用は見送られます。
お互いに進みたい道が違うからです。
そのため、転職者は応募する会社や、所属することになる部署が取り組もうとしている事業について調べ、それに即した志望動機を伝える必要があります。
志望動機の回答例を紹介!
私が、実際に話していた志望動機をご紹介します。私が未経験で営業職に転職したときに話していた志望動機になります。
未経験で営業職に転職した私の志望動機
次は、私が未経験で人材紹介会社のキャリアアドバイザー(営業職)に転職したときに話していた志望動機です。
営業は未経験だったものの、国内大手人材紹介会社2社から内定をもらうことができました。ポイントは、志望動機に「課題感」を盛り込んだことです。
「課題感」については、後ほど説明します。



筆者/未経験→人材紹介会社の営業職
御社を志望するのは、外部のプロ人材を会社に登用することで、その会社の成長の力になりたいと考えているからです。
現在、東証一部上場企業の財務部に所属しており、金融機関から転職されてきた財務部長の豊富な金融知識に驚く毎日を送っております。
会社の投資計画に多大な影響を与えている、会社のブレーンとしての部長の活躍は尊敬の一言です。
私の会社もそうですが、大手と呼ばれる会社ほど中途採用者が少なく、外部環境のスピードの変化についていけていないことが課題だと感じております。
そこで、外部のプロ人材を事業会社に登用する力になることで、会社の成長の力になりたいと考えるようになりました。
御社は、国内の大手企業をクライアントに多くもっていることもあり、大手企業の起爆剤となる人材の登用を御社で実現したいと考えております。
転職面接で「受かる」志望動機のポイント
紹介した志望動機を例に、「受かる」志望動機のポイントを4つお伝えします。
それぞれ、解説しますね。
正しい構成を守って志望動機を伝える
志望動機を話すときは、正しい構成を守ることが大切です。
以下の構成を意識して、志望動機を考えましょう。
志望動機を伝える際の構成
- 1. 結論(志望する理由)
- 2. 経験、知識、課題に感じていること(現在)
- 3.なぜ入社したいのか(職種、企業)
- 4. 入社をしたら、何をしたいんか(未来)
面接官がまず聞きたいのが、「なぜ入社したいのか?」ということです。
そのため、結論から答えることが大切です。
例文でいうと、「外部のプロ人材を会社に登用することで、その会社の成長の力になりたい」といった箇所ですね。
次に、自分の経験や知識を踏まえて、「何ができるのか」そして「何に課題を感じているのか」を伝えます。
そして、「志望職種への意欲」と、「なぜ他社ではなく、御社なのか?」という御社でなければならない理由を熱意を持って伝えます。ポイントは職種の志望動機と企業への志望動機と、2つの志望動機を伝えることです。
最後に、入社したら何をしたいのか、自分の考えるビジョンを打ち出しましょう。





監修者のワンポイントアドバイス
志望動機には「現在」と「未来」を入れるように構成を考えることをお勧めします。「現在」には自分の経験、知識、今何に課題を感じているかなどを盛り込みます。知識の中には資格取得に向けて勉強していることなども含めます。そして、その経験から、なぜ貴社に入社したいのかという思いを職種・企業の両面で伝えます。最後に「未来」の内容として、入社後、何をしたいのか、どういうことで役に立ちたいのかということを熱く語ってください。「現在」「入社したい理由」「未来」、この3段階を意識して作成してみましょう。
現職に「課題感」をもっていることを伝える
志望動機では、「現職に課題感をもっていること」を伝えるのもおすすめです。
なぜなら、「感じている課題は現職では解決できず、転職することで実現できること」が伝えられるからです。
つまり、転職の動機を強くアピールできます。
先ほどの志望動機の例でいうと、「中途採用者が少なく、外部環境のスピードの変化についていけていない」といった課題を伝えています。
そして、「外部のプロ人材を事業会社に登用する力になることで、会社の成長の力になりたい」と意欲を示しています。





監修者のワンポイントアドバイス
筆者の課題感を盛り込むアイディアはとてもいいアイディアですね。しかし、もし転職理由が課題に転換できないなどお悩みの場合は、課題感を志望動機に盛り込まない方法もあります。個人的には転職(退職)理由は志望動機に含めなくてよいと考えています。なぜなら、転職(退職)理由は志望動機とは別の質問で、面接で聞かれるからです。退職理由は聞かれたときに、志望動機や自己PRと一貫性が取れている内容で話せるように準備しておきましょう。
自分が活かせる能力をアピールする
志望動機では、「自分が活かせる能力をアピールすること」も大切です。
志望動機は、「やりたいこと」「憧れ」といったことを中心に話してしまいがちです。
しかし、中途採用では「即戦力人材」を求めています。
そのため、「自分が活かせるチカラを使って、○○をしていきたい」と話すことが大切になってきます。
先ほどの例だと、未経験でキャリアアドバイザーに転職した私の場合だと「財務部に所属している」という点が、「活かせる能力」として評価されたと考えています。
なぜなら、実際にキャリアアドバイザーとして働くと、「経理・財務職」の転職者をサポートする部署に配属になったからです。
「○○がしたい」とだけ伝えても、志望動機としての説得力に欠けます。
一方で、「自分にはこんな力があり、その力を使いつつ、さらにステップアップしていきたい」と伝えると、説得力ある志望動機を作れるので、意識してみてください。
話す長さは2分以内
志望動機を伝えるときは、2分以内で話すようにしましょう。
面接官に集中して聞いてもらえる長さが2分、長くて3分くらいになります。面接であっても会話のキャッチボールができるような長さを転職者も意識することをお勧めします。
ちなみに、志望動機を考えるときは、約600字を目安に書いてみましょう。
1分で話すベストな文字数は「300字」といわれています。
タイムを計って、2分以内に話せるように練習するのもおすすめです。
志望動機のNGな伝え方
志望動機のNGな伝え方を2つ紹介します。
志望動機の伝え方NGパターン2つ
NGな伝え方を避けて志望動機を話すことで、マイナス評価を受けないように気をつけましょう。
現職の不満を伝えてしまう
現職の不満を志望動機で伝えるのはNGです。
転職を考えるキッカケとして、現職への不満は少なからずあるものです。
しかし、転職先の企業は、不満を解消する場所ではありません。
そして、どこで働いても不満は出てくるものです。
そのため、「不満を解消したいから転職したい」というのは、そもそも説得力がないんですね。
「会社の業績が下がっているため」「子供が生まれて働き方を改善したくて」といった理由は、たしかに転職の動機になります。
しかし、転職先の企業には響きません。
なぜなら、企業が中途採用者に求めているのは、「即戦力として活躍してくれること」だからです。
厳しい言い方をすると、個人の事情は企業にとって関係ないことなんですね。
不満を解消するために転職すること自体は悪くありませんが、面接で伝えてしまうとマイナス評価を受けやすいので気をつけましょう。
また、受け身の姿勢を感じさせる表現は、志望の意欲を見せることができません。
受け身の姿勢を見せてしまう
受け身の姿勢とは、「成長できる」「教えてもらえる」といった姿勢のことです。
繰り返しになりますが、企業が中途採用者に求めているのは、「即戦力として活躍してくれること」です。
つまり、企業の成長に積極的に貢献してくれる人を求めています。
そのため、受け身の姿勢を見せてしまうと、評価を下げてしまうんですね。
とくに、以下の2つを志望動機に盛り込むことはおすすめできません。
マイナス評価になる2つの志望動機
- 成長環境
- 福利厚生や研修の充実度
それぞれ、説明します。
「成長環境」は禁止ワード
初めて転職する20代の方で多いのが、「御社は成長できる環境だと思いました」と志望動機で話してしまうことです。
成長できる環境で、どう成長し、何をしたいかまで伝えられるようにしましょう。成長過程で取得したい資格やスキルを挙げ、クライアントにこういったことを提供していけるようになりたいなど、具体的な例を自分の言葉で説明できるように準備することをお勧めします。前向きな行動が含まれている志望動機は、面接官に向上心や意欲を伝えることができるでしょう。
福利厚生や研修の充実度は志望理由としてNG
志望動機で、「福利厚生に魅力を感じて」といったことを伝えるのも気をつけましょう。
特に陥りやすいのが、研修に関する志望動機です。
たとえば、英語力に不安をもっている人が海外事業部を志望する場合、「御社は社員に英語研修を義務付けているため、私も研修に積極的に参加し、さらに英語力を伸ばしていきたいと考えています」といったことを伝えてしまいがちです。
研修に参加し勉強することは、前向きな行動ではありますが、入社してから努力する受け身な姿勢も垣間見れる表現なのです。
すでに自主的に勉強していることや資格取得を目指していることを盛り込むことをお勧めします。そして、研修制度も積極的に利用し、一日も早く戦力となり〇〇したいというところまで、意欲を伝えるようにしましょう。
福利厚生や研修など条件面のことは、志望動機の一つではあると思います。しかし、面接で話す優先順位は下がる志望動機であることを注意しましょう。
志望動機でよくある疑問に答えます!
私が転職エージェントでサポートしていた方から、以下のような質問を受けることが多くありました。
【FAQ】私が求職者からよく聞かれた2つの質問
それぞれ、答えていきますね。
面接で志望動機を聞かれないときは?
面接のなかで、志望動機を聞かれないことがあります。
自己PRと志望動機は連動していることも多いので、自己PRでじっくり話を聞いた場合、志望動機を聞かないこともあります。
この場合、自分から志望動機を話す必要はありません。あくまでも面接も会話のキャッチボールだと思って臨みましょう。
質問されていないのに志望動機を話してしまうと、面接官によっては「会話がかみ合わない」と感じてしまうことがあります。
「会社を選ぶ軸」を質問されたら?
「志望動機はなんですか?」と質問されず、「会社を選ぶ軸はなんですか?」と質問されることもあります。
軸とは、会社選びで譲れないポイントのことです。
軸は、歩みたいキャリアから逆算して伝えるのがポイントです。
例えば、以下のように答えましょう。
「自分にとって会社選びの軸は、特定の層のサポートではなく、年代、役職問わずさまざまな転職者のサポートができる会社ということです。なぜなら私は、将来的に人材の適材適所に貢献できる人になりたいと考えています。この目標を達成するには、さまざまなキャリアの人をサポートし、ノウハウを自分にためることが大切だと考えているからです。」
この例の場合、「特定の層のサポートではなく、年代・役職問わずさまざまな転職者のサポートをすること」が会社選びの軸です。
ビジネスでも同様なことが言えますが、面接では面接官がわかりやすいように、先に結論から言うようにしましょう。そのあとに必ず理由を伝えることをお勧めします。
今回の例で言えば、以下の構成で伝えています。
「会社選びの軸」伝え方
- 1. 結論:仕事に就く軸
- 2.理由:キャリアのゴール
- 3. そのゴールを達成するために必要だと考えていること
面接官が軸を聞くのは、会社選びや仕事選びの価値観を知るためです。
この「仕事観」から、面接官は自分の会社が候補者の仕事観を叶えられる会社か、また応募した職種がマッチする仕事か、ある程度判断できることになります。そのため、軸を聞かれたら、「将来的にこうなりたい!」という自分のキャリア形成やビジョンが伝えられるような内容を含めることが大切です。その目標を叶えられる環境に身を置くことを希望していることを伝えると、「キャリアのことをしっかり考えて会社選びをしているな」と面接官から評価されます。
転職の志望動機は面接の結果を左右する!
企業は、長く貢献してくれる人を求めています。
そして、志望動機を聞くことで、「長く働いてくれるか」「意欲は本物か」また、「他の自己PRや転職理由、キャリアビジョンと話が一貫しているか」などを判断しています。
そして、企業もまた、候補者と自社との接点を探しています。自社が候補者のキャリアビジョンを叶えてあげられる会社かどうか、判断しているのです。
この記事を参考に、転職の志望動機をしっかり準備してみてください。
そして、志望度を強くアピールすることで、憧れの企業への入社をグッと引き寄せましょう!





監修者によるコメント
自分の意欲を最大限に見せることができる志望動機で、ありがちな表現を使ってしまうことはとてももったいないことです。志望動機は十分時間をとって、ぜひ自分の言葉で書けるようにしましょう。
最初から一つの文を作りあげるのではなく、段階に分けて書き出すワークをしてみてください。自分の言葉で志望動機が書けるようになると思います。
【ワーク】
① 現在(どんな経験をしてきたのか、どんな知識を持っているのか、どんなことに課題を感じているのか)を書き出す。
② 入社したい理由(なぜこの仕事なのか、なぜこの企業なのか、この企業に惹かれた理由)を書き出す
③ 未来(入社したら何をしたいのか、何で役に立ちたいのか)を書き出す